石灰石について

石灰石の定義
石灰岩は炭酸カルシウム(CaCO3)を50%以上含む堆積岩の総称で、石灰石とは石灰岩の工業用名称で同一の物です。石灰岩はピラミッドの建造にも用いられました。大理石も石灰石の一種で色は白いものから黒いものまで存在します。鉱物資源としては珍しく現在の日本での自給率は100%であり、元々の純度の高さや優れた製錬技術により高い品質を誇り一部は輸出されています。

石灰石の生い立ち
生物由来の生い立ちを持つものと水中のカルシウム分が沈殿して生成された物の2種類があると言われていますが、生物由来の石灰岩が圧倒的に多い事が知られています。

生物由来の石灰岩は有孔虫・貝類・サンゴ・石灰藻が沈殿して生成されたものが多く、古生代のオルドビス紀〜中生代の白亜紀(約4億5千万年〜7千万年前)にテチス海(古代の内海で現在の地中海〜ヒマラヤ山脈にかけての海)で多く生成されたと考えられています。その時代に生成された石灰岩はアルプス山脈やヒマラヤ山脈・日本にも残っています。(ヒマラヤ山脈のエベレスト頂上や、アルプス山脈のアイガーは石灰岩でできています。日本でも伊吹山・秩父の武甲山・四国の鳥形山などは全山石灰岩です。)
またサンゴ由来の石灰石は現在でも造礁され続けており、鹿児島県の沖永良部島などは島自体が成長を続けています。

水の中の炭酸カルシウム沈殿による石灰岩は少ないが長野県の白骨温泉などはその例です。多くは石灰岩層を通る地下水や温泉水が炭酸カルシウムを含有し、その水が蒸発することにより沈殿生成されたと考えられています。

石灰石の用途
「古代エジプトで発明されたモルタル」「日本の白壁を作る漆喰」のように石灰石は古くから使われてきました。(かつて石灰石のとれない地方では貝殻を焼いて漆喰を作っていましたが石灰石が貝殻等の化石であり成分が同じことに由来します。)
現在では主に次のような場所で使われています。

@製鉄所
鉄の中の不純物を取り除くのに使われる為、高純度の石灰石が使われます。

Aセメント工場
セメントの主原料は石灰石です。

B火力発電所
排煙中に含まれる硫化物の除去に使われます。(カルシウムと硫化物が化合し硫化カルシウムが生成されます。一部は石膏・セメント等に再利用されています。)

C製紙工場
白い紙を作るのに白色度の高い炭酸カルシウムが使われます。

Dゴム・プラスチック工場
ゴム製品のコンパウンドとして又プラスチックの増量剤として用いられています。

E配合飼料工場
かつては貝殻等が使われていましたが、今では牛・豚・鶏のカルシウム補給剤としてエサの原料に使われています。特に卵の殻は炭酸カルシウム(石灰石と同じ成分)でできていますので鶏用のエサには多く配合されます。

Fアスファルト合材工場
舗装用フィーラーとして用いられています。

G焼却炉・ボイラー炉
排煙中に含まれる硫化物の除去に使われます。(カルシウムと硫化物が化合し硫化カルシウムが生成されます。一部は石膏・セメント等に再利用されています。)